色覚特性少数派であることをカミングアウトした五つの理由
色覚特性少数派であることをカミングアウトした五つの理由

(1)カミングアウトしやすい環境に恵まれたこと。

私の職場では、色覚異常で特に不利益を被ることもなく、また、社会的差別を受けることもほとんどない職場でした。

また、あらかじめ色覚異常であることを周囲に告げておくことで、それなりの配慮を受けられる立場でもあり、カミングアウトの敷居が低かったこともひとつの要因であったと思います。



(2)子どもたちや孫たちに色盲・色弱に対する偏見・差別のない未来を残したかったこと

子どもというものは、ときには無自覚で残酷なことをなんの躊躇もなくするものです。

大勢の中で、一人だけ他と違った形質の子がいるといじめの対象に為りやすいと言われます。

しかし、人に個性があるように、色覚も人によって千差万別です。

異常色覚と正常色覚との境界線は、実は曖昧で、ここからここまでが正常色覚、ここから先は異常色覚と単純に割り切れるものではありません。

実際には、グラデーションのように連続的に変化して、限りなく正常に近い異常色覚から、

私のような、判然とした正真正銘の色覚異常まで、実に様々です。

子どもたちには、このグラデーションのような色覚特性の多様性を素直に受け入れて欲しいものです。


(3)色覚異常の形質を持って生まれた子を持つ母親たちに、1型2色覚の当事者として体験談などの情報を提供したかったこと。

色覚特性で遺伝子は、主に母親から子どもに受け継がれます。

幼児期の子どもの動静から、
「なんとなくこの子の色彩感覚はおかしい。」
と感じて目医者さんに連れて行ったり

一度、廃止された学校での色覚検査で色覚少数派とわかり、パニックになるなどということもあるでしょう。

多くの母親は、どうしてうちの子だけがと悲嘆に暮れ、

やがて、「うちの子」が色覚異常であることの理由を探そうとします。

その結果、母親自身が持っていた隠れ遺伝子が原因であることを知ることになります。

そんな、母親たちに声をかけてあげたい。

「お母さん、自分を責めないで!」

「色盲の遺伝は、誰のせいでもないのだから!」

「貴男の子どもは、一時期あなたを憎むかもしれない」

「でも、それは一時的なものだから気にしないで欲しい」

そう声をかけてあげたい。


(4)正常色覚者に対して、色覚異常について正しい認識を持ってもらいたかったこと。

色覚異常をカミングアウトすると

「色が見えないの?」
「じゃあ、これは何色に見えるの?」

正常色覚者が私に対してする質問の定番中の定番です。

考えてみれは、グラデーションのように連続する色覚特性は、千差万別、人が千人いれば、一枚の赤い色紙(いろがみ)には千通りの「赤」が見えるのです。

正常色覚の人たちは、数が多いという理由だけで全く同じ色を見ているものと決め込んでいます。

色覚特性に限らず、多様性のある社会を柔軟に受け止めて欲しいと思います。


(5)再び、子どもたちのこと孫たちのこと

私の家は、息子と娘と三人の孫がいます。

家内が、色覚異常の遺伝子を持っているのか持っていないのかは、遺伝子解析を受けていないのでわかりません。

息子は正常色覚なので、とりあえずは色覚異常の遺伝子はありません。

娘たちは、色覚特性の遺伝の法則からもって、100%因子保有者です。

息子の男の子(孫)は、色盲ではなさそうなので、遺伝子のリレーからは抜けだしました。

ただし、因子を保有する女性との結婚によって再びリレーに参加する可能性はありますが(女性の因子保有者は、10人に一人と言われています)

娘たちは、ふたりとも因子保有者なのは前述しましたが、娘たちの娘ふたりは、50%の確率で因子保有者の可能性があります。

孫娘たちには、まだこのことを話してはいませんが、娘たちには話しているので、後は委せるしかありません。
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