色覚特性の掲示板を設置しました。
2000年代前後と今とで、色覚特性に関する情報量は、さほど変化はないように思えますが、色覚特性について情報交換をする場は確実に減少傾向にあります。

その理由をあらためて考えてみると、色覚特性が、進学や就職のさいにハードルになることが少なくなったことが一因になっているからではないかと思い至りました。

例えば25年前には、色盲色弱だと理系はアウトという昭和の頃の認識が色濃く残っていました。

今でこそ、色盲色弱でも医師になることが当たり前のことになってますが、当時は、色盲色弱の子を持つ母親たちが、そのハードルを除けることに必死になっており、そのための情報交換が必要だったと考えられはしないでしょうか?

しかし、身近に同じ境遇にある人がいる可能性は昔もいまも低いので、インターネットは、情報交換の恰好のツールだったに違いありません。

ハードルがなくなった今、ネット上での情報交換の場はその役割を終えたということでしょうか。

でも、本当にそうでしょうか。
カラーユニバーサルデザインは遅々として進まないし、色盲色弱に対する差別と偏見は相変わらず存在しています。

今でも、否、今こそ色覚特性に関する情報交換の場は必要なのではないでしょうか。

そこで、実験的に色覚特性の掲示板を設置することにしました。

閑古鳥が鳴くことになるかもしれませんが、今後の推移を見守りたいと思います。
我が家は色覚異常とは無関係?
家族や親戚に色覚異常の人は居ないから、我が家は色覚異常とは無関係?
本当にそう断言できるでしょうか?

色覚異常の遺伝は、劣性遺伝ということで、X染色体を二つ持つ女性は、その両方のX染色体に色覚異常の遺伝子を持っていなければ、色覚異常にはなりません。

女性の色覚異常者が約500人に1人と言われているのは、二つのX染色体に同時に色覚異常の遺伝子が存在する確率が低いからに他なりません。

ただし、女性の約10人に1人は、因子保有者だと推計されています。

私は、1型2色覚で、その遺伝子はX染色体上にあります。妻が正常色覚なのか、因子保有者であるのかは、遺伝子解析を受けていないのでわかりません。

妻が正常色覚だと仮定すると、女の子が生まれた場合は、私の遺伝子がのったX遺伝子と妻の正常色覚の遺伝子との組み合わせになるので、すべてが因子保有者となります。

では、男の子の場合はどうなるかというと、考えられる組合せは二つになります。

先ずは、妻の二つあるX染色体のどちらが私のY染色体(男性の 性染色体はXとY、女性は、X染色体が二つ)
なので、私の遺伝子ののっていないY染色体と妻の正常なX遺伝子との組合せのみとなるので、色覚異常が遺伝する可能性はゼロとなります。

次に、女性が因子保有者、男性は正常な場合です。
この場合は、女の子ならば50%の確率で因子保有者となります。


男性が色覚異常で女性が因子保有者の場合はどうなるでしょうか。

この場合は、女の子は因子保有者か色覚異常、男の子は50% の確立で正常色覚か色覚異常となります。

最後に、女性・男性ともに色覚異常の場合です。
女の子でも男の子でもすべてが色覚異常になります。

※因子保有者とは、症状は発現しないが色覚異常の遺伝子は持っている方のことです。
何世代もの間、家族の誰にも色覚異常が発現しないまま、突然表面化することも可能性としてありえます。

色覚異常は我が家には関係のないことだ!という根拠のない思い込みは危険です。
レーザーポインターは、やっぱり緑がいいな
赤色のレーザーポインターって、1型2色覚には殆ど見えないんだよな~

だから、緑色のレーザーポインターを使って欲しい!

でも、2型2色覚の人は緑色のレーザーポインターは見えにくいんだろうか?

1型は、色覚特性少数派の中でもさらに少数派なので、こういったことも声が届きにくいのかな?
変更部分は赤色文字で表記しています。
契約約款の変更された部分は、赤色文字で表記してあります。

多数派の「正常色覚」の方にとっては親切な心遣いだと思います。

しかし、1型2色覚の私にとっては、何か突き放されたような寂しさを感じる事柄です。

せめて、色だけでなく他の情報も(例えば、アンダーラインなど)を付加してもらえればいいのになって思います。

色覚特性をカミングアウトできる環境が整っていれば(偏見・差別がなければ)そういった書類を作成する時点で、色だけでなくアンダーラインなど他の情報も付加することを提案する人も増えるのではないかとも思います。

色覚特性についてカミングアウトしやすい状況とは、偏見・差別がないことです。

偏見・差別をなくすためには、
自分の色覚特性を積極的カミングアウトする人が現れて、色盲・色弱について情報発信することが必要です。

金庫の中に鍵かあって、金庫を開けるためには、その鍵が必要だと言うようなどうどうめぐりの話になってしまいましたね。

でも、カミングアウトする人はこれからも現れてくると信じています。
色覚特性少数派であることをカミングアウトした五つの理由
色覚特性少数派であることをカミングアウトした五つの理由

(1)カミングアウトしやすい環境に恵まれたこと。

私の職場では、色覚異常で特に不利益を被ることもなく、また、社会的差別を受けることもほとんどない職場でした。

また、あらかじめ色覚異常であることを周囲に告げておくことで、それなりの配慮を受けられる立場でもあり、カミングアウトの敷居が低かったこともひとつの要因であったと思います。



(2)子どもたちや孫たちに色盲・色弱に対する偏見・差別のない未来を残したかったこと

子どもというものは、ときには無自覚で残酷なことをなんの躊躇もなくするものです。

大勢の中で、一人だけ他と違った形質の子がいるといじめの対象に為りやすいと言われます。

しかし、人に個性があるように、色覚も人によって千差万別です。

異常色覚と正常色覚との境界線は、実は曖昧で、ここからここまでが正常色覚、ここから先は異常色覚と単純に割り切れるものではありません。

実際には、グラデーションのように連続的に変化して、限りなく正常に近い異常色覚から、

私のような、判然とした正真正銘の色覚異常まで、実に様々です。

子どもたちには、このグラデーションのような色覚特性の多様性を素直に受け入れて欲しいものです。


(3)色覚異常の形質を持って生まれた子を持つ母親たちに、1型2色覚の当事者として体験談などの情報を提供したかったこと。

色覚特性で遺伝子は、主に母親から子どもに受け継がれます。

幼児期の子どもの動静から、
「なんとなくこの子の色彩感覚はおかしい。」
と感じて目医者さんに連れて行ったり

一度、廃止された学校での色覚検査で色覚少数派とわかり、パニックになるなどということもあるでしょう。

多くの母親は、どうしてうちの子だけがと悲嘆に暮れ、

やがて、「うちの子」が色覚異常であることの理由を探そうとします。

その結果、母親自身が持っていた隠れ遺伝子が原因であることを知ることになります。

そんな、母親たちに声をかけてあげたい。

「お母さん、自分を責めないで!」

「色盲の遺伝は、誰のせいでもないのだから!」

「貴男の子どもは、一時期あなたを憎むかもしれない」

「でも、それは一時的なものだから気にしないで欲しい」

そう声をかけてあげたい。


(4)正常色覚者に対して、色覚異常について正しい認識を持ってもらいたかったこと。

色覚異常をカミングアウトすると

「色が見えないの?」
「じゃあ、これは何色に見えるの?」

正常色覚者が私に対してする質問の定番中の定番です。

考えてみれは、グラデーションのように連続する色覚特性は、千差万別、人が千人いれば、一枚の赤い色紙(いろがみ)には千通りの「赤」が見えるのです。

正常色覚の人たちは、数が多いという理由だけで全く同じ色を見ているものと決め込んでいます。

色覚特性に限らず、多様性のある社会を柔軟に受け止めて欲しいと思います。


(5)再び、子どもたちのこと孫たちのこと

私の家は、息子と娘と三人の孫がいます。

家内が、色覚異常の遺伝子を持っているのか持っていないのかは、遺伝子解析を受けていないのでわかりません。

息子は正常色覚なので、とりあえずは色覚異常の遺伝子はありません。

娘たちは、色覚特性の遺伝の法則からもって、100%因子保有者です。

息子の男の子(孫)は、色盲ではなさそうなので、遺伝子のリレーからは抜けだしました。

ただし、因子を保有する女性との結婚によって再びリレーに参加する可能性はありますが(女性の因子保有者は、10人に一人と言われています)

娘たちは、ふたりとも因子保有者なのは前述しましたが、娘たちの娘ふたりは、50%の確率で因子保有者の可能性があります。

孫娘たちには、まだこのことを話してはいませんが、娘たちには話しているので、後は委せるしかありません。

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